そんな訳でエリック・クラプトン

僕のエリック・クラプトン初体験は中学3年生の時、同級生がバンドを組んでクリームの「サンシャイン・オブ・ユア・ラブ」をやり初めて、それがあまりにも下手だったので「何じゃこりゃ?」と思って原曲を聞かせてもらった時であった。
もっともその時の印象は、まあ音は中学生バンドよりあっていたけどやっぱりヘタクソに聞こえた(笑)。
次に意識して聞いたのはビートルズの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」だろうか?嫌いではないけどあのリードギターが「スゴイ」とは一度も思ったことがない。
お次がデレク&ドミノスの「いとしのレイラ」!これははまりましたね。やっぱり名曲だよね。でも一番素晴らしかったのはデュアン・オールマン(笑)??
そして多分リアルタイムの体験になったのが「461オーシャン・ブールヴァード」。当時「レイドバック」という流行語を生み出した名盤。でもあれは全然好きじゃなかった。結局クラプトンを(少しでも)マジメに聞いたのはここまでで以降は全く興味を失っていた。

そもそも「三大ギタリスト」とか「ギターの神様」などと崇め奉られていたエリック・クラプトンなんだけど僕は彼のギターが上手いとは一度も思ったことがない。そりゃあ、第一線で長いことプロ活動しているんだから下手ではないでしょう。でも仮にロック界と限定してみてもクラプトンより音色やテクニック、味などが魅力的なギタリストなんていくらでもいる。ましてやジャンルを超越した孤高の天才、ジェフ・ベックと同列に並べるなんて全く理解できなかった。

そのエリック・クラプトンが再び僕の視界に入ってきたのは近年彼がいわゆるアメリカのジャズ・フュージョン系のミュージシャンと演奏するようになってから。マーカス・ミラースティーブ・ガッドが彼のバックバンドで演奏しているのを偶然にTVで見た時は最初信じられなかった。でもそれは一時的なセッションバンドではなくて、結構長い期間(特にガッドは)クラプトンのツアーバンドとしてやっているということも驚きであった。クラプトンってそんなにスゴイ存在なの?それとも金の力?などと思ってしまったくらい(まあギャラは当然いいんだろうな)。。。

そんなクラプトンがデヴィッド・サンボーンジョー・サンプルマーカス・ミラースティーブ・ガッドという信じられないような豪華なメンバーと組んだ「LEGENDS」というバンドのDVDを見た。これはマーカス・ミラーが音頭とりでひと夏だけ実現したセッションらしい。いやあ、正直なところクラプトンいなくてもいいのに、という気分で見始めたDVDではあったが。。。
なんかいいんですね、クラプトンの立ち居地が(笑)。歌う時以外はサンボーンやマーカスよりも後ろで見方によっては恥ずかしそうに俯いてギターを弾いているかのような・・・

面白かったのはクラプトンとジョー・サンプルの相性。僕はこのバンドの中でこの二人の絡みが一番面白かった。マーカス・ミラーはソロさえ取らなければ最高のベーシストなのになあ(爆)・・・・マイルスバンド時代みたいな絶妙なベースプレイを繰り広げるマーカスを聞くことはもうできないのだろうか???

何度かこのDVDを見ているうちに僕はちょっとクラプトンのファンになってきた。そこで近年の彼の映像作品をいくつか借りてきてみた。なんかどんどんはまってきているかもしれない(笑)。特に彼のストラトの音はいいなあ。メイプル指板のちょっと硬めで歪んだサウンド。でもネーザン・イーストのベースはマーカス以上に気に食わない。素晴らしいベーシストだけど(フォープレイの彼は大好きだよ)音もプレイも人間性も軽すぎる。「レイラ」をニコニコしながらぴょんぴょん飛び跳ねて弾くベーシストなんてクラプトンバンドには似つかわしくない、なんて思っている自分に気づいてビックリした。わたくし、すっかりエリック・クラプトンさまのファンになっているみたい・・・・・・