家族の室内楽

11月に入って新百合ヶ丘にある『しまりすミュージックホール』で2日間レコーディングがありました。『しまりす』のオーナーであるピアニストの山口昌子さんはフルーティスト石井孝治さんのCD製作の時にお世話になって以来。ここは山口さんの個人宅にあるサロンホールですが、木の暖かい響きが素晴らしく室内楽の演奏には最高の環境です。今回は山口さんのご紹介で地元のヴァイオリニストの方のCD製作をお手伝いすることになったのですが、これが又面白いというか、感動的な体験でした。

このヴァイオリニストKさんはアマチュアではあるのですが、既に自主制作で二枚CDを出されていて、今回が三枚目。そして二人のお嬢さんがチェロとビオラを弾き、ビオラ弾きのご主人(ドイツ人)もチェロを弾くという何とも羨ましい家族構成なのです。

そんな訳でレコーディングも和やかな雰囲気の中進んでいきました。娘さんがやや「暴走」する(笑、失礼!)お母さんをさりげなくフォローしているところも微笑ましかったです〜!いやいや、このコントラストが音楽的にも面白いんですね。Kさんはファーストテイク至上主義の方で、実際何も考えずにさらっと弾いた一番最初のテイクが素晴らしい。Kさんが弾いたフォーレの『夢のあとに』(名曲!)なんかそういう音楽の流れが実に心地よいものでした。

やっぱり音楽の原点ってこういう所にあるんだよな、という気がしました。ヨーロッパなんかではこういう家庭が多いのですが、日本には少ないですよね。プロとかアマとか関係なく何よりも身近に音楽を楽しむ環境があるということが何よりも素敵ですね。